新しい選択肢「モダン・オーラルたばこ」を正しくご理解いただくために。
紙巻たばこでも、加熱式たばこでもない、「モダン・オーラルたばこ」という新しい選択肢をご存じですか。 上唇と歯ぐきの間に挟んで使用する「モダン・オーラルたばこ」は、近年、国内外で市場が急速に拡大する一方、その特性や健康影響をめぐってさまざまな議論が交わされています。
このページでは「モダン・オーラルたばこ」について正しく理解していただくために、基本情報をはじめ、近年の科学的知見、世界各国の政策、公衆衛生をめぐる動向、そして「モダン・オーラルたばこ」に対するBAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の考え方をご紹介します。
伝統的なオーラル製品
スヌース
ニコチンパウチ
モダン・オーラルたばこ
なかでも近年注目されているのが、世界で市場が急速に拡大している白色パウチ型の「現代的オーラル製品」です。日本では「モダン・オーラルたばこ」が流通しており、 白いパウチを歯茎と頬の間に挟んで使用し、火を使わず加熱もしないため、煙やニオイ、灰が出ません。また、喫煙所を必要とせず、望まない受動喫煙を生じさせないことも大きな特徴です。
「紙巻たばこ」は、たばこ葉を燃焼させ、発生した煙を吸う製品です。「モダン・オーラルたばこ」は、燃焼や加熱を伴わず、煙を発生させない口腔用のたばこ製品です
「加熱式たばこ」は、専用デバイスでたばこ葉を加熱して使用する製品です。「モダン・オーラルたばこ」は、燃焼や加熱を伴わず、専用デバイスも必要ありません。
「ビンロウ」、「グトゥカー」、「ナスワール」といった「噛みたばこ」や、米国で古くから親しまれる「湿性嗅ぎたばこ」などの「伝統的なオーラル製品」は、地域によって原材料や製造方法が異なります。「モダン・オーラルたばこ」は、品質基準に基づく管理された環境で製造される、比較的新しいたばこ製品です。
「スヌース」は、湿潤たばこ葉を主原料とする褐色の製品です。「モダン・オーラルたばこ」は、加工たばこ葉や植物由来繊維、香料、甘味料などを使用する白色のパウチ型製品です。
「ニコチンパウチ」は、主に北欧・米国・英国で流通する、たばこ葉を含まないニコチン製品です。「モダン・オーラルたばこ」は、加工たばこ葉を含み、主に日本で流通するたばこ製品です。いずれも白色のパウチを口腔内で使用します。
「モダン・オーラルたばこ」は、たばこ葉を原料の一部に使用しているため、日本では「製造たばこ」に該当します。たばこ税法上は「かぎ用の製造たばこ」に区分されます。[
「モダン・オーラルたばこ」を理解するうえで重要なのが「燃焼」と「健康リスク」の関係です。喫煙関連疾患の主な原因は、たばこそのものではなく、たばこの燃焼によって生じる煙に含まれる有害性物質にあると考えられています。
「モダン・オーラルたばこ」は燃焼を伴わないため、紙巻たばこの煙と比べて有害性物質の排出量が大幅に低減されます。 当社製品の分析では、WHO(世界保健機関)の研究グループが紙巻たばこの煙中で優先的な低減対象として示した9種類の有害性物質1について、紙巻たばこと比較して平均99%以上の低減が確認されています2。
こうした科学的知見を踏まえ、海外では「ハームリダクション(健康被害の低減)」という考え方が注目されています。これは、リスクがあるとされる行動に伴う社会的・身体的な害や影響を低減することを目的とした保健政策、戦略、プログラムを指し、たばこの分野では2001年に米国医学研究所(現・全米医学アカデミー:IOM)3によって提唱されました。世界には約10億人の喫煙者がおり4、多くの人が禁煙を試みている一方で、長期にわたって禁煙を続けることは容易ではありません。 そのため、禁煙が難しい成人喫煙者に対して、燃焼を伴わない製品への完全な切り替えを促すことで、健康リスクや公衆衛生上の負担低減を目指すこのアプローチについて、研究や政策議論が進められています。
なお、「モダン・オーラルたばこ」を含むたばこ製品は、健康への影響がないわけではなく、依存性のあるニコチンを含みます。「使用を開始しないこと」「完全にやめること」が最善であるという前提は変わりません。
厚生労働省の禁煙治療に関する調査では、一定期間後も禁煙を継続できていた人は約3割にとどまりました5。こうした結果は、禁煙支援の重要性とともに、禁煙を長期的に継続することが難しい喫煙者が存在することも示しています。
喫煙関連疾患の主な要因は、たばこの燃焼によって生じる煙に含まれる有害性物質であるとの見解が、海外の公的機関や専門機関から示されています。
米国食品医薬品局(FDA)
「ニコチンの依存性が喫煙を継続させる一方、疾病や死亡の主な原因は、数千種類の有害成分を煙中に放出する燃焼にある。」6
英国王立内科医協会(RCP)
「たばこ煙に含まれる有害成分を伴わない形で、喫煙者が依存しているニコチンを提供することで、喫煙による害の多くを防ぐことができる。」7
世界ではさまざまな「オーラル型たばこ・ニコチン製品」が流通していますが、原材料や製造工程、使用方法、含まれる成分や有害性物質はそれぞれ異なります。そのためBATでは、「オーラル型たばこ・ニコチン製品」を一括りに捉えるのではなく、製品ごとの特性や科学的知見に基づいてリスクを評価することが重要だと考えています。
比較的新しい「モダン・オーラルたばこ」や「ニコチンパウチ」は、長期的な疫学的知見がまだ十分に得られていません。そのため海外の一部政府機関では、使用形態や製品特性の類似性を踏まえ、長年にわたり科学的知見が蓄積されている「スヌース」のエビデンスを参考にリスク評価が行われているのが現状です8 9。
「現代的オーラル製品」やその前身となる「スヌース」をめぐっては、健康リスクに加え、公衆衛生や喫煙環境、火災リスクなど、さまざまな観点から議論が進んでいます
ハームリダクションを支える
受動喫煙を生まない
喫煙所不足を緩和
火災リスクを回避
「スヌース」が長年広く利用され、近年「ニコチンパウチ」も普及しているスウェーデンでは、紙巻たばこの喫煙率と肺がん死亡率がともにEU加盟国の中で最も低い水準10 11にあります。このスウェーデンの経験は、代替品への切り替えによって社会全体の健康被害を減らす「たばこハームリダクション」の可能性を考える上で、重要な事例として研究・議論されています。12 13 14 15
日本国内では、煙が発生しない「モダン・オーラルたばこ」は、受動喫煙の防止や喫煙所不足など、喫煙環境をめぐる課題解決の観点からも議論されています。たとえば東京都では、「モダン・オーラルたばこ」(税法上の名称は「かぎ用の製造たばこ」)は受動喫煙防止条例の規制対象に含まれないことが明示されています。16
火災リスクの回避も、「モダン・オーラルたばこ」をめぐる論点のひとつです。消防庁によると、2024年に日本で発生した火災37,141件のうち、たばこを原因とする火災は3,058件(8.2%)で、出火原因の第1位でした17。「モダン・オーラルたばこ」は火を使用しないため、たばこの火を原因とする火災リスクが生じません。
こうしたさまざまな観点から、各国で規制や制度のあり方をめぐる議論が進んでいます。海外の動向や事例は、日本がこの新しいカテゴリーとどう向き合うかを考えるうえでも重要な参考となります。
スウェーデンでは、歴史的に「スヌース」が広く利用されています。スウェーデン公衆衛生庁の2024年データでは、スヌース(「ニコチンパウチ」を含む)の使用率は15.2%、紙巻たばこの喫煙率は5.4%10で、欧州委員会が「スモークフリー」の目安とする喫煙率5%未満18に近づいています。欧州委員会の2023年調査でも、スウェーデンの喫煙率はEU加盟国平均を大きく下回っています19。
スウェーデンでは、紙巻たばこ、スヌース、ニコチンパウチにそれぞれ異なる規制が適用され、年齢制限や製品届出、健康警告表示、販売・広告規制などが設けられています20 21。また政府は、製品ごとの健康影響の違いを踏まえ、2024年11月から紙巻たばこや刻みたばこの税率を引き上げる一方、スヌースの税率を引き下げました21。さらには同年、たばこ・ニコチン政策全体についても、製品ごとの相対的な有害性の違いを考慮する方針を示しています。23
スウェーデンは、喫煙率に加え、IARC(国際がん研究機関)の2022年統計でも肺がん死亡率がEU加盟国の中で最も低い水準にあり11、その公衆衛生指標や「スヌース」「ニコチンパウチ」の使用状況が国際的に注目されています12 13 14 15。一方、公衆衛生当局は青少年による「スヌース」「ニコチンパウチ」の使用増加を報告しており24、その役割や規制のあり方をめぐる議論が続いています。
「モダン・オーラルたばこ」という新しいカテゴリーが日本社会に受け入れられるためには、適切なルールのもとで市場を形成していくことが重要です。
業界団体では、20歳未満の使用防止に向けて、紙巻たばこと同水準の広告・販売に関する自主基準を「モダン・オーラルたばこ」(税法上の名称は「かぎ用の製造たばこ」)にも適用しています25。BATジャパンでも、製品パッケージへの年齢制限表示や、小売事業者と連携した厳格な年齢確認など、責任あるマーケティングのグローバル原則に基づく取り組みを進めています。
製品品質についても、原材料の選定から製造工程まで、厳格な管理を行っています。当社の「モダン・オーラルたばこ」には食品相当の原材料のみを使用し、すべての原材料について、当社の認定毒性学専門家(トキシコロジスト)による安全性評価を実施しています。
BATは日本において、製品特性を踏まえた適切なルールのもとで、「モダン・オーラルたばこ」の健全な市場を形成していくために、ステークホルダーの皆さまとの建設的な対話を続けていきます。
[1] 世界保健機関(WHO)およびWHOたばこ対策イニシアティブ. 『たばこ製品規制の科学的根拠 第2次WHO研究グループ報告書』. WHO技術報告書シリーズ第951号. 2008年. https://apps.who.int/iris/handle/10665/43997
[2] 本製品は健康へのリスクがないものではなく、依存性のあるニコチンを含有しています。本比較は、リファレンス紙巻きたばこ(タール約9mg)から発生する煙とVELOの使用時に放出される物質について、紙巻たばこの煙中からの削減優先度が独立して選定された、9種類の有害性物質の平均値に基づき評価したものです。
[3] 米国医学研究所(Institute of Medicine)『煙をなくす:たばこハームリダクションの科学的基盤の評価』National Academies Press, 2001. DOI: 10.17226/10029 https://www.nationalacademies.org/publications/10029
[4] 世界保健機関(WHO)「WHO世界たばこ蔓延報告2021:新たな製品・新興製品への対応」(2021年) https://www.paho.org/en/node/82149
[5] 厚生労働省「ニコチン依存症管理料による禁煙治療の効果等に関する調査報告書」(平成29年度調査、診療報酬改定結果検証に係る特別調査)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192293.pdf
[6] 米国食品医薬品局(FDA) スコット・ゴットリーブ長官(当時)声明「青少年における電子たばこ使用の急増への対応に向けた新たな取り組みに関する声明」(2018年9月12日)https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-announces-comprehensive-regulatory-plan-shift-trajectory-tobacco-related-disease-death
[7] 英国王立内科医協会「煙のないニコチン:たばこハームリダクション」(2016年)https://www.rcp.ac.uk/resources/nicotine-without-smoke-tobacco-harm-reduction/
[8] 米国食品医薬品局「FDA、広範な科学的評価を経て20品目のZYNニコチンパウチ製品の販売を認可」https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-authorizes-marketing-20-zyn-nicotine-pouch-products-after-extensive-scientific-review
[9] 米国食品医薬品局(FDA)「2026年たばこ製品科学諮問委員会(TPSAC)会議資料・情報」https://www.fda.gov/advisory-committees/tobacco-products-scientific-advisory-committee/2026-tpsac-meeting-materials-and-information
[10] スウェーデン公衆衛生庁「たばこ・ニコチン製品の使用状況」(2024年更新、2024年データ)https://www.folkhalsomyndigheten.se/the-public-health-agency-of-sweden/living-conditions-and-lifestyle/andtg/tobacco/use-of-tobacco-and-nicotine-products/
[11] 世界保健機関(WHO)および国際がん研究機関(IARC)、「Cancer Today:2022年の世界のがん負担を可視化するデータツール」(選択基準:人口10万人あたりの年齢調整率[世界標準]、罹患率、男女計、欧州連合[27か国]、年齢範囲:15歳~85歳以上)https://gco.iarc.who.int/today/
[12] Foulds J.ほか「無煙たばこ(スヌース)がスウェーデンの喫煙および公衆衛生に及ぼす影響」『Tobacco Control』2003年、第12巻第4号、349–359頁、doi:10.1136/tc.12.4.349. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1747791/
[13] Clarke E.ほか「紙巻たばこのハームリダクションにおける有力な代替品としてのスヌース」『Harm Reduction Journal』2019年、第16巻、62、doi:10.1186/s12954-019-0335-1. https://link.springer.com/article/10.1186/s12954-019-0335-1
[14] Smoke Free Sweden「スウェーデンの経験:スモークフリー社会へのロードマップ」https://smokefreesweden.org/resource/the-swedish-experience-the-road-map-to-a-smoke-free-society/
[15] 欧州議会関連イベント「スモークフリーな欧州の実現に向けて:スウェーデンの経験から学ぶ教訓」(2023年5月31日). https://www.theparliamentmagazine.eu/partner/article/reaching-a-smokefree-europe-lessons-from-the-swedish-experience
[16] 東京都保健医療局「受動喫煙対策に関するよくあるお問合せ(Q&A)」1 総論 たばこの種類」Q18「嗅ぎたばこ・噛みたばことは…」 https://kenko-station.metro.tokyo.lg.jp/category2/kitsuen/tokyo/FAQ3.html
[17] 総務省消防庁「令和6年(1~12月)における火災の状況(確定値)」2025年11月25日公表. https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/20251125boujyo.pdf
[18] 欧州委員会「たばこ及び関連製品に対する欧州市民の意識に関する特別ユーロバロメーター539」(2024年公表、2023年調査実施) https://europa.eu/eurobarometer/surveys/detail/2995
[19] スウェーデン議会「たばこ及び類似製品法」(2019年施行)https://www.riksdagen.se/sv/dokument-och-lagar/dokument/svensk-forfattningssamling/lag-20182088-om-tobak-och-liknande-produkter_sfs-2018-2088/
[20] スウェーデン議会「たばこを含まないニコチン製品に関する法律」(2022年施行)https://www.folkhalsomyndigheten.se/the-public-health-agency-of-sweden/living-conditions-and-lifestyle/andtg/legal-requirements/tobacco-free-nicotine-products/
[21] スウェーデン議会財務委員会「たばこ及びニコチン製品に対する税率の見直し」委員会審査報告書(2024年6月18日可決、2024年11月1日施行) https://www.riksdagen.se/sv/dokument-och-lagar/dokument/betankande/justerad-skatt-pa-tobak-och-nikotin_hb01sku27/
[22] スウェーデン政府「たばこ及びニコチン製品への課税見直し」政府提出法案(2024年公表) https://www.riksdagen.se/sv/dokument-och-lagar/dokument/proposition/justerad-skatt-pa-tobak-och-nikotin_hb03120/
[23] スウェーデン公衆衛生庁「青少年におけるたばこ・ニコチン製品の使用」(2024年更新) https://www.folkhalsomyndigheten.se/the-public-health-agency-of-sweden/living-conditions-and-lifestyle/andtg/tobacco/use-of-tobacco-and-nicotine-products-among-adolescents/
[24] 一般社団法人日本たばこ協会「自主規準に関する取り組み:広告・販売促進活動に関する自主規準の設定」https://www.tioj.or.jp/activity/self-standard.html
[25] 一般社団法人日本たばこ協会「自主規準に関する取り組み:広告・販売促進活動に関する自主規準の設定」https://www.tioj.or.jp/activity/self-standard.html